先日、朝日小学生新聞に興味深い記事があったので、共有したいと思います。
誰もが知る「緊急地震速報」のあの不気味な音。
「緊急地震速報」の音を作ったのは、名優れた作曲家・伊福部昭さんの甥っ子さんとのことです。
伊福部昭さんは、アイヌ民謡の旋律を現代的に解釈し直した独自の音楽性で知られる人物です。
「ゴジラ」のあの不気味なテーマ音楽の作曲者と聞けば、知っている人もいつのではないでしょうか。
伊福部さんはチェレプニン賞という権威あるコンクールで最高位を獲得するなど、その才能は並々ならぬものがありました。
伊福部昭さんが北海道の山奥で生まれ育ったことから、民族音楽に興味を持ったそうです。
戦前の時代、正規の作曲教育を受けることはできませんでした。しかし、彼は自力で作曲法を身に付け、アイヌ民謡のリズムとメロディーを取り入れた作品を生み出していきました。
私自身、かつて伊福部昭さんの曲に夢中になった時期がありました。「ラウダ・コンチェルタータ」というマリンバ協奏曲を、通勤の際に毎日のように聴いていたものです。この曲は、アイヌ音楽のようなプリミティブなリズムと、中毒性のあるメロディーが特徴的で、聴けば聴くほど心を奪われていきました。
伊福部昭さんの代表作の一つ「ゴジラ」も、シンプルながらも印象に残る独特の旋律があります。アイヌ民謡を基調としながらも、現代的で都会的な感覚が加わった土俗的な作風が、多くの人々を魅了してきたのです。
そんな伊福部昭さんの音楽性を受け継いだ甥っ子さんが作ったのが、「緊急地震速報」のあの不安をあおるような音なのかもしれません。単なる注意喚起の音ではなく、人々に危機感を抱かせ、素早い行動を促すために計算されている、と言えるでしょう。
「パラリパラリ」と鳴り響く度に、多くの人が不安に駆られるのは事実です。しかし、この音こそが、人々に危機感を抱かせ、素早い避難行動を促す大切な役割を果たしています。
確かに、地震は起きなかったのに大げさに音を鳴らすな、と不満に思う人もいるかもしれません。
しかし、災害発生時の一瞬の判断が命取りになることもあるのです。そういった緊急事態においては、人々に焦燥感や不安を引き起こし、行動を喚起する音があってこそ、被害を最小限に抑えられると言えるのではないでしょうか。
緊急地震速報が鳴ったのに地震が起きなかったじゃないかと文句を言うのではなく、「どきっとしたけど地震は起きなくてそれはそれでよかった」そう思えるように心広く持っていきたいです。